「UMLモデリング入門」を読んでみた

UMLは実際にはクラス図くらいしか使ったことが無かったです。しかも現場での見よう見まねと、ネットでの知識で何となく使っていました。


ソフトウェアだけではなく、物事の考え方(認識の仕方)にも応用が聞くと聞いたことから、前々から一度勉強しなければと思っていました。そんな時、たまたまこちらの本を見つけて評判も良さそうなので手に取ってみました。



詳細はKindleで無料のサンプル版を入手して読める「まえがき」の項目を読んでもらった方がよういと思いますが、本書のサブタイトルである「本質をとらえるシステム思考とモデリング心理学」について「まえがき」で印象に残った部分を一部引用させてもらいます。


「本質をとらえること」の項にて。

モデリングとは思考の道具であるということです。」しっかりとした思考ができると、対象の理解はいっそう深まります。

 
モデリングはシステム思考である」の項にて。

システム思考とは、観察対象を構造化された全体、すなわち「システム」として見る態度を言います。<省略>私たちは、表層の問題にとらわれることなく、本質的な構造をとらえて、解決の道を探る、こうした思考スタイルが必要です。

 
「なぜ「モデリング心理学」なのか」の項にて。

モデリング認知心理学には深いかかわりがあると考えています。モデリングとは人の認知活動そのものです。


 
 
この「まえがき」見ると、この本の趣旨が技術そのものだけでなく、モデリングの本質であることがわかると思います。今回、UMLを勉強しようと思った動機に「思考の道具として使いたい」との思いがあったので、この「まえがき」を見て迷わず購入しました。


まえがきの後の目次は以下のようになっています。

1部 モデリングの考え方
 1章 モデルが表現するもの
 2章 UMLのお基礎知識
2部 モデルを作ろう
 3章 静的モデリング1:概念と型
 4章 静的モデリング2:関連
 5章 静的モデリング3:インスタンスの構造
 6章 静的モデリング4:高度な関連
 7章 型図の演習
 8章 動的モデリング:状態機械図・活動図
 9章 機能モデリングユースケース
 10章 モデル間の整合
3部 要求をモデル化する
 11章 総合演習:ユーザ要求のとらえ方

 
1部はモデリングの考え方ということで、基礎の部分が説明されます。

まず1章で「モデリング」とは何かという所から説明が始まります。ここがとても丁寧に書かれています。 具体的には、これから本書で使われる用語の定義が丁寧に定義して説明されています。用語の説明と言っても「(モデル)=○○の意味」といったものではなく概念の説明文の中に重要用語を散りばめながら説明する形をとっています。


重要用語に関しては太字になっており、文章を読みながらも重要用語を見逃すことなく、理解できるよう配慮がされています。


単純にUMLモデリングの技術を知りたい場合は読み飛ばしてしまいがちな部分かもしれませんが、この章をしっかり読んで咀嚼しているかどうかで本書から得られるものも変わってきてしまうと思います。というのもこの本全体で単語の定義が厳密に使われているため、この章でをしっかり定義を理解してからでないと続きの章は理解できなく、または誤解して理解してしまう可能性もあるからです。


このモデリングの本質を説明した1章に続き、2章ではその「UML」とはという説明がされています。UMLでの表記法の種類などが書かれています。この1章、2章の知識をもとに3章以降の説明が展開されます。


3章以降での説明としては、クラス図・オブジェクト図の他に、状態機械図(ステートマシン図)、プロトコル状態機械図、活動図、ユースケース図の説明が続いていき、複数の図を合わせて利用する方法に続きます。全体的に実装より、概念に重点がおかれた説明になっています。


最後に、仮想企業の役員へのインタビュー結果なども含めた仮想事例に対して、今まで書かれていたことを利用しつつ業務の仕組み・ビジネスモデルを組み立てていくという総合演習があります。

ここで今までの総復習となります。前のページに用語の定義などを確認しつつ読み進める形になると思います。 ただ、結構難しい。



「入門」と書籍の題名についていますが、これはあくまでUMLにおいての入門であるだけで、UML以外の知識も有る程度は必要になってきそうです。用語も沢山出てきます。ただ、説明はとても丁寧なのでそれらの難しい単語に関しても、良く読めば理解できるように書かれています。

軽い本ではなく、骨は折れましたが、その分、身につくものもあった書籍でした。

UMLモデリング入門

UMLモデリング入門