Windowsストアアプリを公開したので認定審査合格までの進み方を書いてみる

会社で開発していたWindowsストアアプリをリリースしました。初めてのWindowsストアアプリのリリースだったので、リリースまでの道のりを書きたいと思います。


開発者アカウントの登録

まず、アプリの開発がひと通り目処ついたら、Windowsストアアプリの開発者アカウントを取得します。アカウントは年間契約なので、初めてのアプリの場合はアプリの開発完了の目処ついてからアカウント取った方が無駄が無いです。

今回は会社でのアプリ登録だったので、会社向けのアカウントを作成しました。開発者アカウントの価格は現時点では、個人向け4800円/年、会社向け9800円/年です。

開発者情報の入力

代表となるMicrosoftアカウント(旧Live ID)が必要です。そこに名前や住所、支払いに使うクレジットカードなどの情報と、アカウント開設を承認してくれる人(私の場合は自分の上司など)の連絡先を入力します。

アカウント開設承認の確認電話

シマンテック社より、上記で入力した上司宛に電話がきて、会社アカウント開設の承認がされます。

クレジットカードによる身元確認

入力したクレジットカードでの身元確認がされます。クレジットカードの方にMicrosoftより引き落としと、入金があり、その宛名に認証コードが含まれます。以下のようなクレジットカードの明細から認証コードを確認します。下の例の場合だと「123」の部分がそれに当たります。この認証コードはアプリの提出時に必要になります。

MICROSOFT *123CODE (BILL.MS.NET )  226
MICROSOFT *123CODE (BILL.MS.NET )  -226

これが入力されて無いと認定プロセスがスタートしません。私の場合はこの部分忘れていて1日認定プロセスが止まっていました。

↓開発者アカウントについての詳細はこちら
開発者アカウントを開く (Windows)




開発者ダッシュボードよりアプリの登録

開発者アカウントが有効化されると、開発者ダッシュボードというものが使えるようになります。この開発者ダッシュボードのウィザードに沿って、アプリの提出や、価格の設定、ストアに表示するアプリの説明などを入力します。ストアに公開後はアプリのダウンロード数などの情報も確認できるようになります。

こちらからウィザードベースでアプリの提出をしていきます。アプリ提出に際して準備するべき内容はこちらのリンクに纏まっています。
アプリの提出用チェック リスト (Windows)

特に大変なのはアプリの画像です。様々なサイズの画像を用意する必要があります。
アプリ画像の選択 (Windows)

また、審査員へのコメントを書くこともできます。アプリケーションの使い方や操作方法をわかりやすく書いておくと審査がスムーズに進むようです。下にも書いてますが、英語しか読めない審査員もいるようなので、英語が得意なら英語で書いた方がスムーズに審査が進むかもしれません。

ウィザードを全て入力すると、Windowsアプリの認定処理に進みます。認定処理のステータスは以下のような画面で確認できます。この中で「セキュリティテスト」と「テクニカルコンプライアンス」は自動処理のようです。自動処理の部分は認定キットでチェック済みのはずなので、ほとんど引っかからないと思います。「コンテンツコンプライアンス」は審査員の人が実際にアプリケーションをテストしたり手動で認定を行うステップです。認定に落とされる場合はほとんどがこの「コンテンツコンプライアンス」のステップで落とされることになると思います。




認定処理の進み方

認定処理がどのように進むか、今回の例を書いておこうと思います。それぞれのタイミングの日付と時間も載せておきますので、スケジュールを検討する際の参考にどうぞ。

初回提出

まず、初回のアプリの提出が完了しました。
提出が完了するとこのような件名のメールが来ます。

メール受信日時 メール件名
2013/08/01 (木) 0:47 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました


提出の翌日の夕方に認定できないとのメールが来ました。

メール受信日時 メール件名
2013/08/01 (木) 17:07 Windows ストア: お客様のアプリを認定できませんでした

開発者ダッシュボードから確認すると、問題のあった事項が記載されています。

まず、問題のあったアプリ要件について、以下のように該当の項番と、そのリンクが一緒に提示されます。

お客様のアプリは、要件 4.1 を満たしていません。詳細情報

そして審査員からの英語のメッセージも確認できます。場合によってはPDFなどで問題となった箇所の画像も提供されます。

The app has declared access to network capabilities and no privacy statement was provided in the Windows Settings Charm.

今回のメッセージは、インターネットに繋がるアプリケーションの場合は、アプリケーションのチャームの部分にプライバシーポリシーのリンクを準備する必要ということみたいです。
ということでチャームに会社のプライバシーボリシーページへジャンプするリンク作りました。


2回目提出

再度、提出。

メール受信日時 メール件名
2013/08/01 (木) 21:52 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました

すぐに連絡きました。4時間くらい。

メール受信日時 メール件名
2013/08/02 (金) 1:34 Windows ストア: お客様のアプリを認定できませんでした

The App requires a user account. No such information was provided or was incomplete or required additional verification details.
This prevented us from completing our review of this App.

このアプリケーションはSAPシステムというSAP社のパッケージシステムへの接続が必要なものなのですが、審査している人が接続できるような、パブリックに公開しているSAPシステムなんて持っていません。そこで、代わりにデモデータを用意して、それを使っての審査をお願いしたのですが、ダメみたいでした。しょうがないので、AWS上にテスト用のSAPシステムを構築して、審査テスト用のSAPシステムとして接続情報を提供しました。


3回目提出

3回目。

メール受信日時 メール件名
2013/08/02 (金) 20:46 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました

またすぐに連絡きました。

メール受信日時 メール件名
2013/08/03 (土) 0:36 Windows ストア: お客様のアプリを認定できませんでした

Screenshots provided are not appropriately localized for each language the app is supported in.
The app does not appear to fully support touch input. Touch support in this app do not appear to work to our reviewers.
Please see: http://msdn.microsoft.com/en-us/library/windows/apps/Hh761498.aspx for some of the common interactions for keyboard, mouse and touch. The localization for this app appears to be incomplete to our reviewer.

大きく分けて2点です。

今回は、故意に英語をアプリケーションの中で使っていて、表示される情報も英語になってしまうことを、ちゃんと審査員への説明にもそう書いておきました。もしかしたら、審査員が日本語の説明を読めないのかもしれないので、同じ内容を審査員への説明の項目に英語で追記しました。英語で書けるなら英語で説明書いた方がスムーズかもしれません。

  • タッチ操作が機能してないように見える箇所があるけど?

このアプリにはGridViewやFlipViewを使っているのですが、特に設定しない限り、その中に入れているUIコンポーネントをタッチすることで色が反転して反応しているように見えてしまいます。これが、アプリが機能していないように見えるということのようでした。最初は意味わからなかったのですが、添付されていた画像付きのPDFを見たところやっとわかりました。該当のUIコンポーネントのプロパティのisHitTestVisibleを無効化して対応しました。


4回目提出

4回目。

メール受信日時 メール件名
2013/08/05 (月) 1:08 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました

そして。

メール受信日時 メール件名
2013/08/05 (月) 15:41 Windows ストア: お客様のアプリが認定されました

[アプリ名] は YYYY/MM/DD 0:00 UTC 以降に公開され、Windows ストアの http://apps.microsoft.com/windows/app// でご覧いただくことができます。

何とか認定されました。これで後はリリース日を待つだけです。最初に指定したリリース日の、UTC 0:00(日本時間でAM9:00)に公開されると書かれています。


審査処理の纏め

審査の受付のメールと結果のメールを並べてみました。

メール受信日時 メール件名
2013/08/01 (木) 0:47 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました
2013/08/01 (木) 17:07 Windows ストア: お客様のアプリを認定できませんでした
2013/08/01 (木) 21:52 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました
2013/08/02 (金) 1:34 Windows ストア: お客様のアプリを認定できませんでした
2013/08/02 (金) 20:46 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました
2013/08/03 (土) 0:36 Windows ストア: お客様のアプリを認定できませんでした
2013/08/05 (月) 1:08 Windows ストア: お客様のアプリを受付けました
2013/08/05 (月) 15:41 Windows ストア: お客様のアプリが認定されました

たまたま提出審査を受けているアプリ数が少ない時期だったのかもしれませんが、かなり迅速に審査対応してもらったおかげで、認定プロセスもスムーズに進んだように感じました。


アプリのリリース

メール受信日時 メール件名
YYYY/MM/DD(リリース日) 9:04 Windows ストア: お客様のアプリが Windows ストアに公開されました

最初のウィザードで指定したリリース日の、UTC 0:00(日本時間でAM9:00)に公開されると書かれています。実際は全日の夜からリリース処理が始まり、リリースのキャンセルができなくなります。リリースの処理は9:04に終わりました。

URLリンクなども徐々にアクティベートされてくるようです。少し驚いたのはメールやダッシュボードからストアにジャンプできる「http://apps.microsoft.com/windows/app//」のようなHTTPのリンクが取得できるのですが、IEでこのリンク踏んでもセキュリティ引っかかってジャンプできない場合があることです。Chromeなどなら問題無くストアのページにジャンプできます。

これを回避するには、IEのセキュリティ設定で、apps.microsoft.comを信頼済みのサイトに追加するなどを調整するか、以下のようにWindows ストア プロトコルを利用してストアへの直接リンクを貼る方法があります。

Windowsストアプロトコル

ms-windows-store:PDP?PFN=
(例)ms-windows-store:PDP?PFN=165e371e-3ec7-442f-a637-f0e34cdb7368

Windowsストアプロトコルについてはこちらに書かれています。
アプリへのリンク (Windows)



これで何とか初めてのWindowsストアアプリにリリースできました。
このブログ見てる人はあまりSAPに興味無い方も多いと思いますが、もしご興味があれば今回の記事でリリースしたアプリケーションは無償公開でご利用いただけるのでどうぞ。
REALTECH SAP System Monitoring アプリケーション情報 | SAPソリューションのREALTECH Japan(リアルテックジャパン)